Take One's Time

「アンジェ知っていますか?」

唐突な質問。

「何をですか、ルヴァ様?」

ルヴァが集めたという本を整理しているときのことであった。
書庫は薄暗いイメージがあったが、窓から入り込む光で 清々しい感じする。
背の高い本棚。
すでにぎっしりと本が詰まっている。

「聖地では見ることはできませんが、地上では秋になると木々の葉が色を変えますよね。」

聖地では年中一定の気温に保たれている。
木々の葉が色を変えることはない。

「はい。」

「ある地域では、木々の葉が色を変える頃にわざわざ見物しにいくそうですよ。」

ルヴァは話し終えると小首を傾げた。

「街の中にも木はありますよね・・・。」

街の中に木々が少なくなってきているとはいえまったくない 地域があるなどとは聞いたことがない。

「そうなんですよ。まったくないわけではないのですが・・・。不思議な習慣ですね。」

と言い残し、ルヴァはアンジェを残し、部屋を出ていった。
戻ってきたルヴァの手にはアンジェの為に買っておいたお菓子とお茶が乗っていた。

「アンジェ・・・。今日はそのくらいにしてお茶にしましょう。」

「は〜い!ルヴァ様。」

手に持っていた本を本棚にしまいながらアンジェは答え、ルヴァの呼ぶ方に駆け寄った。

「さっきの話ですが、その行為を『もみじ狩り』というそうですよ。」

入れおわったお茶を渡しながらルヴァはそういった。

「『もみじ狩り』?なんででしょうね。」

「そうなんです。私にもわからないのですよ。」

自分のお茶を入れおわると席に座ってお茶を飲みはじめた。

ほのぼのとした時間は心を温めてくれる。
何をするわけでもない。
ただ、時間だけが過ぎて行く。
でも、これが幸せの形なのだから・・・・


by wakaba